IPv6の導入
問題集の図や読み上げで把握が難しい部分などを補足します。
対象ページ:495から522
CSR 1000vを利用したIPv6設定を紹介しています。
今回の章の前後で実際に体験されると理解が深まると思います。
問題3
対象ページ:507
解答にIPv4とIPv6のヘッダフォーマットの表があります。
対象は507ページすべてです。
横32ビット枠の表で整理されていますが、PDFからテキストの変換では把握が難しいため、以下に別形式の表を記載します。
IPv4のヘッダフォーマット
比較のため、IPv4ヘッダの復習です。
ヘッダに格納されるフィールドを先頭から順番に表にしています。パティングまでがヘッダです。最後にペイロード(データ部分)も記載しています。表の最後の列ではIPv6でも維持されているか、または、削除されたかなどを記載しています。
表は、主にWikipedia、TCP/IPとは、IPv6とはなどを参考にしています。参照先により用語が異なることがあるので注意が必要です。
フィールド名 | 長さ(サイズ) | 説明 | IPv6での対応 |
---|---|---|---|
バージョン | 4ビット | IPのバージョン。IPv4の場合は4が格納される。 | 維持。 |
ヘッダ長 | 4ビット | IPヘッダの長さ。通常は5が入る。単位は32ビットなので、32ビット ×5 = 160ビット = 20byte。 | 廃止。ヘッダのオプションやパティングが廃止され、固定長になったため。 |
サービスタイプ | 8ビット | パケットが転送される際に重視(優先)するサービスを指定する。TOSとも呼ぶ。例えば、音声通信を優先したいときに、この値を利用して優先処理(QoS)します。 | 維持。ただし、フローラベルとして定義された。 |
パケット長 | 16ビット | IPヘッダとペイロード(データ)を含むパケットの全長 | 維持。ペイロード長として定義され、ヘッダを除くペイロードの長さのみを示す。 |
識別番号 | 16ビット | 個々のパケットを識別するための情報。フラグメント(分割)化されたパケットの復元に用いられる。 | 廃止。ルータではフラグメント化を行わないため。フラグメント化が必要な場合はルータではなく、送信元ノードが行う。 |
フラグ | 3ビット | フラグメント化の制御に用いる。 | 廃止。ルータではフラグメント化を行わないため。 |
フラグメントオフセット | 13ビット | フラグメントされたパケットが元のパケットのどの位置であったかを示す。 | 廃止。ルータではフラグメント化を行わないため。 |
生存時間 | 8ビット | パケットの余命を示す。TTLとも呼ぶ。時間ではなく、何台のルータを経由することができるかを定義している。 | 維持。ホップリミットという名前に代わった。 |
プロトコル | 8ビット | 上位層(トランスポート層)のプロトコルが何であるかを示す。例えば、ICMP、TCP、UDPなど。 | 維持。ネクストヘッダという名前に代わった。 |
チェックサム | 16ビット | IPヘッダにエラーがないかをチェックする。 | 廃止。TCPやアプリケーション側でエラーチェックできるため。 |
送信元IPアドレス | 32ビット | 送信元のIPアドレス | 維持。ただし、128ビット。 |
宛先IPアドレス | 32ビット | 送信先のIPアドレス。 | 維持。ただし、128ビット。 |
オプション | 可変長 | 拡張情報が設定できる。ほとんど利用されていない。 | 廃止。可変長だったため、廃止によりヘッダを固定長にすることができた。 |
パディング | 可変長 | 上のオプションの調整で利用。 | 廃止。オプションと同様。 |
ペイロード(データ) | 可変長 | ヘッダではなく、ヘッダの次のデータ部分。 | 拡張ヘッダとデータになった。 |
IPv6のヘッダフォーマット
IPv6のヘッダフォーマットは、以下のリンク先の表を代替説明とします。
IPv6とは
ページ下段にある10行3列の表で、先頭から順番に、IPv6ヘッダに格納されるフィールドが説明されています。(このサイトの情報は、私もよく参照しています。具体的でわかりやすいです)
なお、最後の拡張ヘッダは、IPv6の基本ヘッダには含まれません。データ部と共に、ペイロード長として定義されています。
問題4
対象ページ:508
解答にネクストヘッダの説明図があります。
対象行は「【ネクストヘッダ】」から「IPv6パケット」までです。
IPv6パケットは、基本ヘッダ、拡張ヘッダ、データで構成されています。基本ヘッダにあるネクストヘッダによって、拡張ヘッダが参照されることが記載されています。
問題8
対象ページ:510
解答に、IPv6アドレスの説明図があります。
対象行は「0010000000000001:2進数」で始まる長い行から「IPv6アドレス(128ビット)」までです。
IPv6アドレスが128ビットで構成されていること、2進数と16進数ではどのように表記されるか記載されています。
例として、IPv6アドレスを2進数で表記すると以下のようになります。16ビットずつ「 : 」(コロン)で区切って8個のフィールドに分けらているので、128桁(128ビット)あります。以下は表示の関係で3行に分けましたが、実際は1行です。
0010000000000001:0000110110111000:0000000000000001:
0000000000100000:0000101010111100:0000000000000000:
0000000000000000:0000000000000001
これをフィールドごとに、16進数で表すと、以下になります。
『2001:0db8:0001:0020:0abc:0000:0000:0001』
なお、ここからさらに省略表記を利用することで、もう少しシンプルなアドレス表記にできます。
省略表記については、後で出題されます。
問題9
対象ページ:510
解答に、IPv6のユニキャストアドレスの構成イメージがあります。
対象行は「128ビット」から「プレフィックスインターフェイスID」までの3行です。
IPv6アドレスの全体が128ビットで、プレフィックスとインターフェイスIDで構成されていることが表現されています。
プレフィックスとインターフェイスIDは、それぞれ64ビットです。
問題10
対象ページ:511
解答に、IPv6アドレスの省略表記の例が記載されています。PDFからテキストの変換では把握が難しいため、補足します。
対象行は「【IPv6アドレスの省略表記の例】」から「2001:db8::ab10:0:1」までです。
例として、「2001:0db8:0000:0000:0000:ab10:0000:0001」について省略例が記載されています。
- 0db8 は、db8に省略できる。
- 0000:0000:0000は、::に省略できる。ただし、1か所だけ。
- 0000は、0に省略できる。
- 0001は、1に省略できる。
省略の結果、「2001:db8::ab10:0:1」になります。
問題12
対象ページ:512
解答に、問題のIPv6アドレスをどのように省略できるか記載されています。PDFからテキストの変換では把握が難しいため、補足します。
対象行は「2001:F2C3:0000:0000:0029:BD70:0000:EC22」から「:: 29 0」までの3行です。
以下のように、3か所が省略できます。
- 0000:0000:は、::に省略できる。
- 0029は、29に省略できる。
- 0000は、0に省略できる。
問題14
対象ページ:513
解答に、グローバルユニキャストアドレスとリンクローカルユニキャストアドレスの構造の説明図があります。
グローバルユニキャストアドレスの構造
対象行は「【グローバルユニキャストアドレスの構造】」から「サブネット識別に使用」までです。
図を説明します。
グローバルユニキャストアドレスは以下の3つで構成されています。括弧内はそのサイズです。
- グローバル ルーティングプレフィックス(48ビット)。ISPまたはレジストリから割り当てられる。
- サブネットID(16ビット)。サブネット識別に使用。
- インターフェイスID(64ビット)
また、グローバルユニキャストアドレスは、先頭3ビットが次のアドレスで始まります。2進数表記では001、16進数表記では2000::/3。
リンクローカルユニキャストアドレスの構造
対象行は「【リンクローカルユニキャストアドレスの構造】」から「64ビット」までです。
図を説明します。
リンクローカルユニキャストアドレスは以下の3つで構成されています。括弧内はそのサイズです。
- プレフィックス(10ビット)。2進数では1111 1110 10、16進数ではFE80::/10で固定。
- 次のインターフェースIDまでのフィールド(54ビット)。全て0。
- インターフェイスID(64ビット)
問題18
対象ページ:514
解答に、EUI-64でインターフェースIDが決められる様子を示した図があります。
対象行は「【EUI-64】」からページ末尾の「1の場合:ローカルで管理する」までです。
対象行の前の説明のとおりですが、ビット数を含め図を説明します。
MACアドレスは全体で48ビットで、24ビットのベンダーコード(OUI)と24ビットのシリアル番号で構成されています。
インターフェースIDは次のように決められます。
ベンダーコードとシリアル番号の間に16ビットのFFFEを挿入します。これで全体で64ビットになり、インターフェースIDのサイズになります。
先頭から7ビット目のU/Lビットと呼ばれる値を反転させます。反転とは0の場合は1に、1の場合は0にすることです。U/LビットとはUniversal/Localのことで、MACアドレスでの意味とIPv6での意味が反対のため、反転させています。
問題19
対象ページ:515
解答にマルチキャストアドレスの構造図と表があります。
マルチキャストアドレスの構造図
対象行は「【マルチキャストアドレスの構造】から「到達範囲を指定」までです。
図を説明します。
マルチキャストアドレスは以下の4つで構成されています。括弧内はそのサイズです。
- プレフィックス(8ビット)。2進数では1111 1111、16進数ではFE00::/8で固定。
- フラグ(4ビット)。マルチキャストアドレス。
- スコープ(4ビット)。到達範囲を指定。
- グループID(112ビット)。
マルチキャストアドレスの表
対象行は「【主なIPv4マルチキャストアドレスとIPv6マルチキャストアドレス】」からページ末尾の「同一リンク上のEIGRPルータ224.0.0.10 FF02::A ④=B」までです。
PDFからテキストへの変換で把握しにくくなるため、以下に表を記載します。
マルチキャストの対応表
説明 | IPv4 | IPv6 | 問題19の対応 |
---|---|---|---|
同一リンク上の全ノード | 224.0.0.1 | FF02::1 | ②=E |
同一リンク上の全ルータ | 224.0.0.2 | FF02::2 | ③=F |
同一リンク上のOSPFルータ | 224.0.0.5 | FF02::5 | ①=A |
同一リンク上のOSPF指定ルータ(DR/BDR) | 224.0.0.6 | FF02::6 | ⑤=D |
同一リンク上のRIP(RIPng)ルータ | 224.0.0.9 | FF02::9 | ⑥=C |
同一リンク上のEIGRPルータ | 224.0.0.10 | FF02::A | ④=B |
問題21
対象ページ:516
解答に説明図があります。
対象行は「【ステートレスアドレス自動設定】」から「2001:1:1:1::/64」までです。
IPv6アドレスがステートレスで自動設定される様子が①から④の順番で表現されています。
この①から④は対象行の次から始まる①から④の説明に対応します。
図を説明します。
図にはIPv6ホスト(PC)とIPv6ルータの2つのアイコンがあります。ルータのグローバルアドレスは2001:1:1:1::1/64です。
① IPv6ホストはリンクローカルアドレスを生成します。
② IPv6ホストはルータへRSを送信します。送信元IPは未設定、宛先IPはFF02::2(リンク上の全ルータ宛)です。
③ ルータはIPv6ホストへ、プレフィックス2001:1:1:1::/64の情報を載せたRAを送信します。送信元IPはルータのリンクローカルアドレス、宛先IPはFF02::1(リンク上の全ノード宛)です。
④ IPv6ホストは知らせてもらったプレフィックスを利用して、グローバルユニキャストアドレスを設定します。
問題25と26
対象ページ:518と519
解答にshow ipv6 コマンドの出力例があります。
PDFからテキストへの変換で記号が誤変換し、把握しずらい部分があります。
ここではCSR 1000VでのIPv6設定の紹介にて、show ipv6 interfaceとshow ipv6 routeの代替説明とします。
問題28
対象ページ:521と522
解答に3つのIPv6への移行技術について、それぞれ説明図があります。
デュアルスタック
対象行は521ページ先頭の「【デュアルスタック】」から「インターフェイス」までです。
デュアルスタックを設定したルータを中心に、IPv4とIPv6がそれぞれルーティングされる様子が表現されています。
トンネリング
対象行は「【トンネリング】」から「IPv6パケットIPv6パケット」までです。
説明図は、IPv4のネットワークが2つのIPv6のネットワークに挟まれたネットワーク構成です。
IPv6パケットからIPv4を経由して、IPv6へ到達するときに、IPv4のネットワークでトンネリングが利用されます。
IPv4を経由するとき、IPv6パケットにIPv4のヘッダが付加されます。これをカプセル化と呼びます。
IPv4ネットワークからIPv6ネットワークに到達すると付加されていたIPv4ヘッダは除去されます。
トランスレータ
対象行は522ページ先頭の「【トランスレータ】」から「IPv4パケットIPv6パケット」までです。
説明図は、IPv4ネットワークとIPv6ネットワークの境目にトランスレータが設定されたルータがあるネットワーク構成です。
ルータではプロトコル変換が行われ、IPv4ヘッダとIPv6ヘッダが相互に変換されています。